アスベスト対策用防護服とは?
危険性や除去作業に必要な保護具などについて解説

2022/9/22

<目次>

●アスベストとは
吹き付けアスベストとは
●アスベストが及ぼす健康被害
●アスベスト除去作業とは
アスベスト除去の作業内容
●アスベスト除去作業に必要なもの
●アスベスト除去作業に必須の防護服について
作業着との違い
アスベスト対策用防護服の特徴
作業レベルに合った防護服を選ぶ
●防じん性と通気性を両立させた東レの防護服『LIVMOA』
従来なかった抜群の通気性
東レの先端素材技術による作業の快適性
耐水圧性も確保できる
●まとめ

アスベストが使われている構築物等の解体等の作業を行う際には、アスベストが引き起こす体への悪影響を考え、防護服(保護衣)の着用が義務付けられています。しかし、従来の防護服は通気性が悪い製品が多く、熱中症のリスクが懸念されていました。

この記事では、アスベスト除去作業に必要な防護服の特徴や、防じん性と快適性を追求した化学防護服「LIVMOA」について紹介します。作業者が快適に作業できる防護服をお探しの方は、ぜひご一読ください。

アスベストとは

アスベストとは、天然にできた繊維状のけい酸塩鉱物のことです。石綿(せきめん・いしわた)とも呼ばれ、かつてはビルなどを建築する際の建材製品において、保温断熱の目的で使用されていました。しかし、後に粉じんを吸い込むことで、健康に重大な問題を引き起こすことが判明し、現在では製造が禁止されています。

アスベストの繊維は丈夫で変化しにくい性質のため、肺の組織内での潜伏期間が長く、長い年月を経て健康被害が出ることから「静かな時限爆弾」とも呼ばれ、大きな問題となっています。年間約1,000件の労災申請請求があるなど、今でも被害に苦しんでいる方が多くいるのが現状です。

アスベストは健康被害を理由に、1971年に特定化学物質等障害予防規則が制定され、1975年にはアスベスト含有率5%を超える石綿の吹付けが原則禁止となりました。その後もブレーキパッドや保温材、断熱材などで使用されましたが、2006年には建築基準法などが制定され、アスベスト含有率0.1%を超える製品の使用・製造・輸入を禁止しています。

吹き付けアスベストとは

吹き付けアスベストとは、アスベストにセメントなどの結合材と水を加えて混合し、吹付け機を用いて施工したものです。1956~1975年頃まで壁や天井などの防火・耐火・吸音性能などを確保するために幅広く使用されていました。

吹き付けアスベストは、建物の劣化や損傷によってその繊維が空気中に飛散しやすいのが特徴です。そのため、健康被害への対策が急務となっています。

アスベストが及ぼす健康被害

アスベストは、石綿肺・悪性中皮腫・肺がんなどを引き起こす原因といわれています。それぞれの症状や潜伏期間は、下記の通りです。

石綿肺
  • 肺が線維化してしまう病気の一つ
  • 仕事などでアスベスト粉じんを10年以上吸入すると発症しやすい
  • 潜伏期間は15~20年ほど
悪性中皮腫
  • 肺を取り囲む胸膜や臓器を囲む腹膜、心膜などにできる悪性の腫瘍
  • 若い時期にアスベストを吸い込むと発症しやすい
  • 潜伏期間は20~50年ほど
  • 外科治療・抗がん剤治療・放射線治療などの治療法がある
肺がん
  • 肺細胞に取り込まれたアスベストの繊維の刺激により肺がんが発生するとされている
  • ばく露量が多いほど肺がんの発生も多い
  • 潜伏期間はアスベストばく露から15~40年ほど
  • 治療法には外科治療・抗がん剤治療・放射線治療などがある

アスベストが引き起こす健康被害については、独立行政法人 環境再生保全機構の「石綿と健康被害」で確認できます。詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。

アスベスト除去作業とは

アスベストが使用されている建物を解体する際にはまず、アスベストの除去作業をしなくてはなりません。除去作業は、アスベストの飛散の危険性によって作業レベルが1~3に分けられており、レベル1が最も危険な作業となっています。

レベル1
  • 最も危険な吹付けアスベストの除去を行うため、発じん性が著しく高い
レベル2
  • レベル1よりも危険レベルは低いが、発じん性が高い耐火被覆材や保温材、断熱材の除去を行う
  • 工法によって防護服ではなく作業着でよい場合もある
レベル3
  • 比較的発じん性が低い成形板などの建材の除去を行う
  • アスベストが飛散しないように手作業で行う

なお、アスベスト除去作業では、労働安全衛生法において石綿作業主任者技能講習を修了した者から石綿作業主任者を選任することとされています。また、現場に「特別管理産業廃棄物管理責任者」を置く必要もあるため、誰でも除去作業ができるわけではないので、注意しましょう。

アスベスト除去の作業内容

アスベスト除去の主な作業内容は、下記の通りです。

  1. 事前調査
  2. 作業計画
  3. 労働安全衛生法などに則った計画の届け
  4. 石綿作業主任者・特別管理産業廃棄物管理責任者の選任
  5. 防護服などを使用し解体・除去工事
  6. 施工記録・報告

アスベストの除去には、健康に影響を与えないための専用の防護服はもちろん、専門知識が必要です。万が一、アスベストの除去方法や取り扱い方を間違えてしまうと、自分だけでなく近隣の方にも影響を与える恐れがあります。アスベストを使用した建物の解体工事を行う際は、必ずアスベスト対策の実績がある専門業者に依頼しましょう。

アスベスト除去作業に必要なもの

アスベストの除去作業では、粉じんから作業者を守るため、以下の保護衣や保護具の着用が義務付けられています。

  • 防護服(保護衣)
  • 防護手袋
  • 呼吸用保護具
  • 保護めがね(半面型呼吸用保護具を使用の場合)
  • シューズカバー

次章では、なかでも「防護服」について、詳しく解説していきます。

アスベスト除去作業に必須の防護服について

アスベスト除去作業では、防護服などの特殊な保護衣の着用が義務付けられています。具体的には、厚生労働省が定めた石綿障害予防規則において、「日本工業規格 JIS T 8115 の浮遊固体粉じん防護用密閉服(タイプ5)同等品以上のもの」を使用すべきとしています。

アスベストは目に見えないほどの細かい繊維であり、吸い込むと甚大な健康被害を及ぼす危険性があります。そのため、除去作業を行う作業者には、アスベストを吸い込まない、衣服に侵入しないようにするための密閉性の高い防護服が必須なのです。

参考:厚生労働省「石綿粉じんのばく露防止のための適正な保護衣の使用について

作業着との違い

防護服と作業着との主な違いは、下記の通りです。

化学防護服
  • 作業者を危険から守るための衣服
  • 化学物質や放射性物質、ウイルスなどが体に付着したり、体内に入ったりするのを防ぐ
作業着
  • 体に汚れが付着するのを防止する目的であることが多い
  • 主に建築現場や工場などで活用される
  • 化学物質など危険な物質から体を守る機能は備わっていない

欧米では、危険な場所での作業は防護服の着用が一般的ですが、日本では防護服が必要な場面でも作業着で行なっているような現場もあります。日本でも必要な場面で適切な防護服の着用が求められています。

アスベスト対策用防護服の特徴

アスベストには6つの種類あり、1番小さなものでは直径0.02~0.08マイクロメートルです。どれも目に見えないほどの細かい繊維で、保温・断熱材や摩擦材などさまざまな工業製品に使用されています。

小さなアスベストの粒子を侵入させないために、防護服の表面の繊維は幾重にも重ねてあることが多く、密閉性も高いのが特徴です。化学防護服は、タイプ1~6までの6種類に分けられていますが、アスベスト除去の際にはタイプ5の防護服が適しています。

タイプ5の防護服の特徴としては、服(完成品)として微粒子エアロゾル漏れ率試験に合格しているので、アスベスト繊維が防護服内に入りにくいことが挙げられます。

作業レベルに合った防護服を選ぶ

アスベストの除去作業には、アスベストの飛散の危険性によって作業レベルが1~3に分けられていることを解説しました。アスベストの除去作業を行うには、作業レベルに合った防護服を選ぶ必要があります。作業レベルごとの建材の種類などの分類は、下記の通りです。

レベル1 レベル2 レベル3
発じん性 著しく高い 高い 比較的低い
建材の種類 アスベスト含有吹付け材 アスベスト含有保温材など アスベスト含有保温材など
使用箇所の例
  • 1963~1975年初頭までの建築基準法の耐火建築物
  • 1988年頃までの柱・エレベーター周り
  • 1956~1975年初頭までのビルの機械室・ボイラ室・体育館・講堂などの天井や壁
  • ボイラ本体・配管・空調ダクトなどの保温材
  • 建築物の柱・はり・壁など
  • 建築物の天井・壁・床など
  • 屋根材・煙突・状下水道管など
防護服の要・不要 使い捨ての防護服が必要 基本的には使い捨ての防護服が必要(工法によって作業着でも可) 作業着でよい(工法によって使い捨ての防護服が必要)
「LIVMOA」の対応製品 LIVMOA®2000・3000・4000AS・4500AS LIVMOA®2000・3000・4000AS・4500AS LIVMOA®2000・3000・4000AS・4500AS

参考:石綿作業主任者テキスト(P37) 表2-2-1 石綿含有建材の分類

危険度の高いレベル1と2では防護服が必要ですが、レベル3の作業の場合はアスベスト繊維粉じんの発生が少ないことから、作業着の着用も認められています。

防じん性と通気性を両立させた東レの防護服『LIVMOA』

東レの防護服「LIVMOA」は、防じん性と快適性を追求した化学防護服です。従来のアスベスト除去作業に対応した防護服は、防護性を満たすために汗の蒸発が難しく、熱中症リスクが懸念されていました。実際に、防護服を身につけた作業者が暑熱ストレスを感じると、温熱的不快感から注意力が分散し、作業効率の低下やヒューマンエラーの増加につながるとされています。

そこで、防護服の透湿性および通気性を改善することで、暑熱対策に有効な「LIVMOA」が商品化されました。ここでは、アスベスト除去作業の際に活躍する、「LIVMOA」の防護服の通気性や先端素材技術による快適性について紹介します。

従来なかった抜群の通気性

LIVMOA®2000・3000は、東レの先端素材トレミクロン®を使用することで、通気性と防じん性の両立を実現しました。

トレミクロン®とは、ポリプロピレン極細繊維からなる不織布のことで、 繊維1本1本に高度な電石(エレクト レット)機能を付与しています。不織布内外に強力な電界を作り、目に見えない浮遊固体粉じん(サブミクロンの微粒子ゴミ)から大きなゴミまでをキャッチして吸着させることで、防護服に求められる通気性と防じん性という相反する性能を高いレベルで実現しています。

「LIVMOA」ならアスベストの除去作業に必要な防じん性を満たしつつ、作業者を熱中症のリスクや暑さに対する不快感から守ることができます。

東レの先端素材技術による作業の快適性

東レの先端素材トレミクロン®とスパンボンドを積層したLIVMOA®2000・3000の生地は、タテヨコ方向ともに強度が高く、安全性も兼ね備えています。

従来の防護服は、繊維のほつれなどによる異物の発生、作業者の健康にかかわるような暑さや蒸れなどの問題がありました。しかし、LIVMOA®2000・3000は、ポリプロピレン極細繊維からなる不織布を使用した使い切りタイプです、スパンボンド層がメルトブロー層をサンドイッチしているので強度も高いです(洗濯は不可)。

作業者員は、安全性を満たしつつ快適に作業することができるので、業務の効率化を促し、生産性の向上にもつなげることができます。

耐水性と通気性の両立を実現

LIVMOA®4000AS・4500ASは、東レ独自のSMS製法により、耐水圧1000mmH2Oと通気度:約8cc/cm2/sの両立を実現しています。

生地に帯電防止加工がされているので粉じんの付着を軽減することができます。LIVMOA®4500ASはシームテープで縫い目からの液体、粉じんの侵入を防止します。

また、生地を国内の自社工場で生産しているため、安定的な供給が可能です。ベンチマーク品と比較し、LIVMOA®2000・3000と同様、安全性を満たしつつ快適に作業することができます。

まとめ

東レの防護服「LIVMOA」は、防じん性と快適性を追求した化学防護服です。アスベストの除去作業には、作業レベルに合った防護服を着用しなければなりませんが、従来の防護服は防じん性を満たすために汗の蒸発が難しく、熱中症のリスクが懸念されていました。

しかし、「LIVMOA」なら防じん性を満たすのはもちろん、熱中症リスクの軽減や快適性の向上にもつながります。アスベストの除去作業の防護服をお探しの方は、「LIVMOA」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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